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2015年12月24日

3モデル インプレッション VOL.6/SPECIALIZED編 S-WORKS ROUBAIX SL4(エンデュランスモデル)

SPECIALIZED / S-WORKS ROUBAIX SL4 IMPRESSION

クラシックレースの中でももっとも過酷なレースのひとつ、パリ〜ルーベからその名を共有しているこのバイク。長時間の悪路走行でも体力の温存を約束するフレーム機構が特徴だ。そしてS-WORKSルーベSL4は油圧式ディスクブレーキを備え、エンデュランスロードとして今考えられる最上級のスペックを誇る。

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S-WORKS ルーベSL4■フレーム:S-Works SL4 FACT 11r carbon, FACT construction, shaped/tapered 1-1/8″ to size-specific lower head tube, compact race design, Zertz, internal cable routing, carbon OSBB■フォーク:Specialized FACT carbon, size-specific taper, disc mount■試乗車のコンポーネント:シマノ・デュラエースDi2 ディスク■クランク:S-Works FACT carbon, 50/34T■ホイール:Roval Rapide CLX 40 Disc SCS■完成車実測重量:7.4kg(ペダルなし)■カラー:Shown in Satin Carbon/Chrome/Clean■サイズ:49、52、54、56、58、61、64(取扱サイズは最寄のスペシャライズドディーラーに要問い合わせ)■価格:1,080,000円(シマノ・デュラエース Di2 ディスク、税抜)、490,000円(フレームセット・税抜)

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バックステイには振動減衰機能をもつZertzがインサートされる。

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ホイールはスルーアクスルを採用。装着時の精度が出しやすい。

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油圧ブレーキのホースがフォークを貫通する。ディスクブレーキ採用ロードによくみられる手法だ。

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フロントフォークにもZertzをインサートする。歴代引き継がれる機構だ。

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優れた制動力とコントロール性を実現したと評価の高いシマノBR-785を採用した。

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バックステイにはブリッジを設け、剛性を確保し制動時やライディングフィールの最適化に貢献。

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無敵感ただようエンデュランスバイク★菊地武洋

エンデュランスバイクとコンフォートバイクの違いってなんだろう。どちらも通常のレースモデルよりもホイールベースが長く、ハンドル位置を高くしやすいことに変わりはない。しかし、ペダルを踏み始めると気持ちがリラックスして、のんびりと自転車で遊ぶ一日をイメージさせるバイクと、どこまでも遠くまで、長い時間乗って行きたくなるバイクに分かれる。僕にとって、この違いが両車の違いであり、ルーベはいうまでもなく後者だ。もっと言えば、エンデュランスどころか、普通にレーサーと言っても差し支えないパフォーマンスを備えていると思う。スペシャライズドはノーマルレーサーが硬派なターマックなので、確かにルーベの方がマイルドだし、守備範囲も広い。マイルドといっても、その芯にあるのはしっかりしたロードバイクだ。オリジナルのCGRシートポストやゼルツ樹脂は不自然に振動を緩衝せずに路面情報を伝え、高弾性カーボン繊維でサッと振動を収める。必要な情報はしっかりと伝えつつ、疲労の原因になり振動は素早く抑え込んでしまう。ハンドリングやブレーキングの反応性はターマックに及ばないけど、ライバルと比較すれば弱点どころか長所といえるほどレベルが高い。標準仕様のタイヤは26Cだが、日本の路面や日本人の体重であれば、24Cでも十分に快適だろう。今回の仕様でも満足度は高いが、ディスクブレーキ仕様であれば、さらに無敵感が高まるだろう。

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レースを戦うエンデュランスロード◆小高雄人

あくまでこのバイクの目指すところは“レース”であることが乗るとはっきりとわかる。レーシングバイクの快適性をいかに向上させていくかというアプローチで開発が行われているのであろう。ハンドリングにはクイックさがあり、どんな路面状況でも一定のペースで走りぬくようなシチュエーションに向くバイクだ。太めのタイヤを履かせて、グラベルなども思いっきり攻めたくなる。ただ、各所に施されたゼルツの効果の程は体感できなかったが……。スペシャライズドのテクノロジーを持ってすれば、レースユーズを想定しなければ、快適性をより高めることも可能だったはずだ。しかし、レーシングブランドとしてそれを良しとしなかった。シートポストでに輝くクラシックレースでの栄光がそれを表している気がした。

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規格に翻弄されない◆山本健一

eスルー規格など、ディスクブレーキ搭載ロードを取り巻く環境は過渡期にある。しかしながらこのルーベに乗ると、そんなことが些細なことではないかと感じる。より多段化すれば、必要ないと思っていてもその恩恵に授かることができるけれどもルーベのライディングフィールの前には些細なことだ、なんて思ってしまう。他社のピュアレーシングバイクと同等かそれ以上の優れた運動性能をもっているのがルーベの特徴だろう。それでいて振動を減衰するための機構が要所に散りばめられていて、精神的な支えとなる。物理的にも効果が得られていると思うが、主張しないのがこの振動減衰機構の良さともとれる。楽すぎて気がついたら200km走っていた……なんてことはないが、200km走った後でも翌日も同じように走れるかも? と思わせるような、いつもよりも身体の疲労が軽さが実感できる。フォークトレイル49mmがもたらす直進安定性の高さは、時としてダンシング時のバイクコントロールとシンクロしにくい場面があったが、下りや高速時の頼りがいのある安心感はスーパーエンデュランスバイクたる所以だ。しかもファストランにも応えてくれて、ターマックと比較しても遜色のない気持ちいい加速性能を楽しめる。油圧ディスクブレーキの制動力にはなんら不満を感じないが、メンテナンス性などについては、人里離れた地でのトラブルに不安は残るがそれでも欲しくなってしまう魅力があった。


(写真:和田やずか)

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