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2018年07月03日

【e-BiCLIMB】後編 TREK Verve+でたしなむヒルクライム

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完走は目標でなく、何分で走るかが大切

トレックのeバイク“ヴァーヴプラス”は富士スバルラインを上れるか!? という企画、ではない。「何分で上れるか!」がテーマである。ファンライドの読者にとっても、スバルラインは上れるか否かではなく、大切なのはタイムのほうだろう。しかし、冷静に考えてみれば、一般の人にとって自転車でスバルラインを上ることは驚くべきことだし、それをeバイクができるようになったことも、同じようにスゴいことだ。

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最新のeバイクは驚くべき進化を遂げている。たとえばヴァーヴプラスの航続距離はエコモードなら100㎞を越える。このようなロングライドもこなすようになったのは最近の話だが、それは省電力モードの話であり、実走行でどれだけ走れるかというのと未知の部分もある。

結論から言うと、バッテリーに余裕を残しつつ83分で完走した。日頃、トレーニングを重ねている人からすれば、「そんなもんなんだ」というタイムかもしれない。でも、20.5㎏のクロスバイクで……という条件を加味したら、どうだろう。これは相当に速いと思わないだろうか? 

それと同時に、ヒルクライマーが多いファンライドでなぜ、そんなことを……という声もあるだろう。しかし、ヴァーヴプラスはスポーツエントリーバイクとして十二分に魅力的だし、現在、ロードバイクに乗っている人だって、経験してみれば欲しいと思うはずだ。

スポーツ・アクティビティとして十分

汗ひとつかかずスバルラインを83分で走れるわけじゃない。心拍計はつけなかったが、感覚的には常に140~150bpmぐらいの負荷はあった。だれかと一緒に走ったなら、会話が出来ないほどじゃないが、「モーターの力で楽勝!」という感じではない。競技ではないけど、十分にレジャースポーツの域には達している。

走っているときに心掛けたのは、ロードバイクと同じようなこと。最初はゆっくりと、徐々にペースを上げるようにした。違うのは体力だけでなく、バッテリーとアシスト力も状況に合わせて調整した。ボッシュのパワーユニットは下の表のように4段階のアシストが選べる。スタート直後はツアーとスポーツを行ったり来たりしていたが、基本的にはツアーを選択し、場所によってスポーツを選ぶようにした。

アシスト率

ヒルクライム大会に向けて試走している人が多く、そこをeバイクで走るのは気が引ける部分もあった。というのも、先行している人が僕に気がつくとペースアップしているのがわかる。「ごめん、こっちはeバイクだから……」と思う。しかし、大して苦労もせず先行者が近づいてくるのは、正直、気持ちよかった。こちらもそれなりにペダルに力を込めてはいるが、「あぁ、強い人はこんな感じで走っているんだろうな」と疑似体験している気分だった。時速にすると16-17㎞で走っていることが多く、それ以上速く走ろうとすると、やはり車重が気になった。なので、緩斜面の続く4合目からはちょっともどかしさもあったけど、素の僕が83分でスバルラインを走るとしたら、あんなにも景色を楽しむことはできなかった。してみると、ヴァーヴプラスは明らかに快適で、速かった。

サイクリストは不便や苦労を楽しむ部分もある。だから、トレックにはマドンやエモンダがあって、その存在をヴァーヴプラスが脅かすことはないだろう。しかし、移動として自転車を使うならマドンよりもヴァーヴプラスのほうが望ましいことはいくらでもあるだろうし、知り合いを自転車の世界に引き込むのにeバイクは最適なツールにもなる。してみると、家に1台あってもいい。そして、その費用がカーボンホイールと大して変わらないと思うと、家族兼用で……と心動かされる。

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ヒルクライム大会と同じ地点からスタート。エコモードの走行可能距離は103㎞だった。

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その気になれば、ほぼ脚力を使わずに走ることもできるが、そこはトレック。ちゃんとスポーツマインドを持って走る気にさせる。

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ダンシングすると、フワッと自転車が押し出されるようにアシストする駆動力が加わる。

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ほかの人が試走だったのもあるが、手を振る余裕の走りながら、誰にも抜かれることなく五合目まで走りきった。

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「eバイクですかぁ……」と抜かれざまに声をかけられると、ちょっと申し訳ない気持ちにも。

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バッテリーを交換すれば、1日に何度でも走れそうと思えるのもeバイクの魅力だ。

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FINISH
バッテリーの残量は残り40%。道交法によって速く走るとアシスト量が減るため、もっと速く走ればバッテリー残量はさらに余裕ができる。

写真:海上浩幸

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