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2018年06月15日

【DT-SWiSS】ダークホース!? 的秀作のカーボンチューブレスレディ ホイール PRC1400 SPLINE® 35 徹底試乗

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これまでのマスプロメーカーの多くはハイエンドモデルとしてカーボンホイールであってもチューブラーがメインだった。クリンチャーとは比較対象となるものの、レースの現場では長きに渡り絶対的な存在だった。なにしろ軽さはサイクリストの大好物なので軽さと両立させることが至大といえるからだ。だが、ここにきて各社こぞってカーボンチューブラーホイールと横並びながらもクリンチャーあるいはチューブレス・レディタイプ、しかもフルカーボンホイールというハイスペックなモデルを用意してきた。有力マスプロメーカーのほとんどがラインナップに加えているし、総合パーツメーカーは専用に近いタイヤまで用意していることから主力製品として今後さらに普及していくことを示唆する。いまやカーボンホイールだってクリンチャー・チューブレスの時代だ。これはディスクブレーキの普及とも関連性がある。
カーボンリムは長らく熱に対する耐久性の低さなどが取りざたされており、熱膨張による破損が頻発している経緯もある。クリンチャー構造としては致命的なトラブルだ。しかしDTスイス社は2017年からリムを強化しており今に至るという。そこでディスクブレーキなら、この問題自体が発生しない。話を戻す。
ここで注力するのはチューブラーでもクリンチャーでも無くチューブレスレディだろう。インナーチューブを排したことで転がり抵抗の軽減を果たし、タイヤとリムは強力に嵌合する。その恩恵たるやユーザー間ではゲームチェンジャーのレベルだまことしやかに囁かれる。大げさではなくこれはリム外周部の軽さに長けるチューブラーを差し置いて、チューブレスレディに注力している各メーカーの動きを見れば歴然といえる。
とはいえチューブラーがこの世から消えることはないだろう。本当にチューブレスタイヤの性能がチューブラーを超えたならば、トラックレースでも使われるはずだ(とはいえ23mm幅のトラック用タイヤが用意されている情報も。ワイドタイヤ化に関してはアップデートされ始めているようだ)。だが、お外で使う場合と環境が違う。走行性能だけでなく、使い勝手やパンク修理など二次的要素も考慮するとチューブレスやクリンチャーが走行性能も使い勝手もいいということだろう。


数あるコンプリートホイールメーカーの中から「メジャーブランドを挙げよ」と問われたとき、DT SWISSと答える人は何人いるだろうか。たしかにスポーク、あるいはハブのメーカーとしては名高いく堅実でカスタムパーツとして人気がある。ここ数年はコンプリートホイールにも力を注いでいるのだがホイールメーカーとしてイメージしやすいとは言えない。そこで長期インプレッションを実施し、このホイールの理解を深めてみることにした。

使ってみたら…….

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過去2ヶ月でDT SWISSのARC1100 ダイカット48、およびPRC1400スプライン35の2種類のカーボンクリンチャーホイールを使ってみた。いずれもリムブレーキでブレーキシューによる摩擦のリムの熱膨張という、カーボンクリンチャーリムの足かせとなる障害に真っ向から立ち向かっている製品だ。
のべ3000km弱のテストライドを行なった上でわかったのは、この上ない信頼性だろう。アルミリムに向けた”根拠のない耐久性”というべきか、壊れる前提で使っていないあの、ストレスのなさ。それがこの2モデルには感じられた。言い方が適切ではないかもしれないが、あふれ出るほどのセイフティマージンは、カーボンクリンチャーリムであることを忘れてしまうほどだ。これほどまでにズボラに扱えるカーボンホイールも珍しく(失礼!)、気を引き締め直してライドを楽しむ…..。というかつては考えられなかった現象が起きている。

かといって重量級のホイールというわけでもなく、PRC1400スプライン35に関しては、フロント645g、リア789gと、むしろ軽量な部類といえる。メーカーが提示する最大重量は100kgとされる。なるほど、極東アジアのサイクリストなら十二分なスペックといえる。

PRC1400スプライン35のインプレッションとして読んでいただきたい。まさにタイヤの性能を明確にするホイールという印象で、踏力にたいする反応が鋭く軽く進んでくれるホイールだった。ダンシングでは加重によってリムが左右に振れることがあるが、このホイールは縦にも横にも一切のたわみが発生しない、そんな剛性感をもっている。ハブに仕込まれたスプラインテクノロジーの恩恵を感じる。
35mmというリムハイトは上り性能よし、平坦の巡行性能も高く、そして横風にも強いというロードレース・山岳ツーリング向きの万能性能だ。リム形状は空気力学のスペシャリストである「スイスサイド社」のテクノロジーが生きている。ホイールの製作コンセプトである“空気抵抗・操舵性能・転がり抵抗の3つの観点からホイール性能を実証していく”。その効果は乗ってみて明らかだ。

これまで数多くのホイールのテストを行なったが、その経験からカーボンクリンチャーホイールに対して、チューブラーを超える要素はないと思っていたが、利便性含めあらゆる要素を加味すると、個人が運用するうえではメリットがあるな、と感じさせる。手持ちのそのホイールにチューブレスレディタイヤが使えるなら、使わない手はない。やや初期のメンテナンスが個人には手に負えない部分があるかもしれないが、卓越した転がり抵抗の低さ、そしてパンクリスクの減少と出先での安心感はほかにない。そう考えるとむしろランニングコストやメンテナンスの期間や回数は減っていくのはないかと思う。
プロほどライドする時間も余裕もないなら、こういったホイールで豪華一点主義の週末ライドを楽しむというのは、ある種のフルタイムワーカーサイクリストのたしなみとも思える。とはいえ、カーボンホイールがカッコいいのではなく、ライディングスキル相応のモノを使いこなしてこそカッコいいと言いたい。

Mt.富士ヒルクライムでも使ってみました。
出展社対抗ヒルクライム選手権の狂言回しとして、出展社の皆さんと走りました。もちろんホイールはDT-SWiSS PRC1400スプライン35、タイヤはマキシス・パドロネTR(25c)。比較的長時間な24kmのヒルクライム。とはいえ勾配はきついところが少なく、巡行しやすい上りで、集団効果も高いコース。チューブレスホイールはフルカーボンであったとしても、お世辞にも軽いとはいいにくいが、チューブレスホイールとしてはかなり軽量。最軽量クラスなチューブラーよりも重たいが、ロスなく進んでくれる感じは、軽さを超える気持ち良さだ。あくまでも考察だが、チューブレス化によるタイヤとリムのわずかなズレが解消されたイメージで、とにかく“踏んだぶん”だけ進んでくれる。転がり抵抗も低くスムーズに回っていく。終盤に差し掛かると勾配はどんどん緩くなるが、同じペースで走る70分間ほどのいわば一期一会の同志たちと先頭交代をしながら走る。集団の後ろでは休める感覚があったのも、転がりの軽さを提供するこのホイール&タイヤの影響もあるだろう。アップダウンだけではなく、上りも楽しめるホイールでした。

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DT-SWiSS PRC1400スプライン35
価格:275,000円(税抜)
リム:DTスイス パフォーマンス カーボン クリンチャー チューブレスレディ、700C、35mmハイト、18/25mm幅
ハブ:DTスイス スプライン 240gベース、リア36Tスターラチェット、軽量シマノローター
スポーク:フロント/DTスイス エアロライト、リア/DTスイス エアロコンプ
ニップル:DTスイス プロロック ヒドゥン アルミ
付属品: RWSスチール、スイスストップ ブラックプリンス ブレーキシュー
チューブレスレディ リムテープ、チューブレス バルブ
重量:フロント/658g、リア/828g
最大重量(ライダーの体重+車体重量+ヘルメットやウエア装備品重量、荷物の合計):100kg
推奨タイヤ幅:23〜60mm
推奨ブレーキシュー:SWISS STOP

 

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DTスイスのパフォーマンス カテゴリーに位置する。このPRC1400は同カテゴリーの最上位モデルのカーボンクリンチャー・チューブレスレディホイールである。

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フロントハブとリアハブ共に同社ハブの240Sベースで作られている。

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リアハブにはスプラインテクノロジーという強度と重量のバランスに優れたハブテクノロジーが用いられる。ストレートスポーク専用。

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RWSはクイックレリーズよりも確実な固定が可能な、DT SWISSだけの機構を用いる。

協力:DTスイス(ジャパン)
写真:小野口健太
関連URL:https://www.facebook.com/dtswissjapan/

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