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2016年05月15日

3モデル インプレッション Vol.15/SCANDIUM(スタンダードモデル)

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DE ROSA / SCANDIUM

このモデルはブラックラベル カテゴリー、デローザのカスタムメイド専用モデルだ。すなわちカスタムメイドのみで生産される完全なフルオーダーモデルである。チューブはかつて2000年代前半に一世を風靡したスカンジウム合金を添加したアルミ合金チューブを用いている。このレアメタルを添加することでアルミチューブは軽量かつ剛性に富みフレーム素材として飛躍的に飛躍的に向上している。このレース用として最適な優れた剛性と、軽さを兼ね備える素材にデローザのパッションが加わり、エンスージアストも満足させる性能である。

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■フレーム:スカンジウムアルミ合金(7000番系)■フォーク:カーボン■試乗車のコンポーネント:カンパニョーロ・コーラス■ホイール:カンパニョー ロ・シャマル■完成車実測重量:7.4kg(ペダルなし)■カラー:グレイホワイトマット■サイズ:オーダー■価格:460,000円(フレームセット)

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フレームに負けないくらいマッシブなストレートカーボンフォーク。

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BB周りはカーボンフレームに見慣れた目ではシンプルに見える。BB規格はプレスフィットを採用している。

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横扁平したトップチューブの両端に接続した2本のバックステーがまっすぐに伸びる。太目のプレーンなチューブが剛性感をかもしだす。

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チェーンステーの太さには固執していない。標準的なカーボンフレームに比べると相対的に細身。

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プレーンチューブで構成しているがダウンチューブのボリュームは圧巻だ。

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レギュラータイプのシートポストを採用する。シート径は31.6mmだ。

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溶接ビートは処理されているが、メタルフレームらしい無骨さが新線だ。


IMPRESSION

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別格のス・ミズーラ♥菊地武洋

ひと通り自転車道楽をした後、やっと魅力がわかる、それが“スカンジウム”だ。スタイリングは素っ気なく、色っぽさもない。しかし、装飾的でなくオーソドックスな佇まいは、自分たちのファンのことをよく知る演出だ。そして、走るだけの性能を求めるなら、スカンジウムは“プロトス”や“キング”に敵わないだろう。軽さや剛性、振動減衰性、ハンドリングはロードバイクを評価する上で欠かせない。しかし、それだけが価値ではない。モノによっては歴史的な価値だってあるし、思い入れがある製品やブランドなら所有する喜びだってある。もっといえば、同じように見えても既製品と注文品では別モノだ。イタリア語でオーダーを意味する“ス・ミズーラ”は、フレームでもドレスシャツでも別格扱いである。どんな素材を使った高価な製品も、既製品は既製品。オーナーのために仕立てられたモノは、価格以上の価値がある。さらに言えば、プロトスもサイズオーダーに対応する。だが、デローザというブランドにおける金属フレームの価値を考えれば、価格やグレード以上の価値があるのは分かるだろう。既製品のスカンジウムが46万円というなら、控えめに言っても割高だ。ヘッド周りもBBも剛性は見事に高く、路面の凹凸も容赦なく伝えてくる。フレームと比べてフォークがマイルドな組み合わせだが、ブレーキングやコーナリングで不安となる挙動をすることもない。というのが試乗車の印象だ。けれど、オーダーバイクである以上、あまり意味はないかもしれない。傾向としてはスパルタンだが、デローザがあなたのために、どのようなしつらえをするのか、それを楽しみにできる人だけが買えるバイクである。

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これぞまさしく「温故知新」♥芦田昌太郎

いわゆる継承されてきた自転車のとしての形、ホリゾンタルフレームの形状ながらも、素材や太いシートステイなど新たな試みを取り入れ、見た目は同じ自転車なのに、まったく違う乗り味に仕上っている。フレーム内部をパワーの粒子が遠心分離機のように高速で駆け巡り、集約されて最後に路面へと伝わっていくというような印象だった。高ケイデンスよりも75回転くらいでゆったりとドライブしていく感触で、上りに差し掛かってもそのまま低めのケイデンスでグルングルンと上る。ヘッドは非常に硬質で安心感があるが、パワー伝達の特殊さゆえか加速の立ち上がりはゆったりとしている。外見的には太いチューブにホリゾンタルの美しいラインが特徴的。そして乗っていると、自転車のほうから正しい乗り方を教えてくれる、そんな1台に仕上がっていた。

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アルミフレームの存在価値を昇華させた1台♥山本健一

カーボン素材がハイエンドモデルの素材として用いられ始めた2000年後半、言葉が正しいかわからないがアルミフレームは駆逐され、エントリーユーザー向けのお手頃なモデルへとイメージは変化していった。レアメタルを添加するアルミチューブはハイスペックと引き換えに高価であり、その加工技術も手が込んでいた。そこでカーボンフレームが取って代わったわけだが、ここ数年ではカーボンフレームキラーといえるハイスペックアルミフレームが息を吹き返している。どういうわけかあれほど見飽きた無骨なアルミフレームが、この有機的形状のカーボンフレームの中にあると新鮮だ。かつて大口径アルミフレームに囲まれたのスチールフレームを見るような印象と似ていて、このデローザ・スカンジウムはまさに今において希有なるアルミフレームだ。デローザの工房にフルオーダーできるというプレミアム感を超える体験はなかなか得られないだろう。とはいえアルミフレームという時点で、少しハードルが上がってしまうだろうが、このテストバイクにまたがるといろいろな障壁は一気に低くなってしまうのである。そういう意味ではアルミフレームの存在価値を高める1台といえる。具体的には硬くはないが、反応がよく爽快な加速性能だったというのが第一印象だ。プレーンチューブで構成されており、しなり方が想像できるもので挙動もわかりやすい。それが妙に身体にしっくりとする理由なのだと感じる。外観は素っ気ないがよく走る、まさにツンデレといったバイクだ。個人的な印象ではアルミフレームとして考えると乗り心地はマイルド。カーボンフレームと比較してもそれほど差はないイメージである。費用対効果はまさに感性によって左右されるもの。これを高いと感じるか安いと感じるか、デローザフリークであれば買いのフレームとなるだろう。

(写真:和田やずか)


デローザのお問い合わせ 日直商会 http://www.derosa.jp/

 

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