【CLIMB JAPAN レベル別攻略法／中級編】山の神 森本誠氏に訊くヒルクライム心得

トレーニングについて

編：上りで速くなるには、とにかく上るしかないのでしょうか？

森本さん：必ずしも、上らないと速くならないっていうわけではないと思います。筧五郎さんの場合、練習場所としては平坦が多いんですよ。平坦でも使う筋肉が全く違うわけではないので。具体的にこの筋肉がどれくらいの割合でというのはわかりませんが、平坦を走るのか上りを走るのか疲れる部位っていうのはそれほど変わらないです。もちろん上りのレースに出るんだから上りの練習は気分的にはやりたいでしょう。環境的に難しいのであれば平坦の走りでも全然問題ないと思います。
あとはローラー台でしょうか。僕は最近はあまりやらないんですけど昔はローラーで1時間走などヒルクライムを意識してやっていたので、確実に効果はあると思いますね。

編：ローラー台でのトレーニングは最近行わないんですね。

森本さん：やらないんですよ。やらないって言い始めてもう3年くらいになるんですけど、環境的にすぐに10km走っても信号がないところに行けるので平坦だから走りに行っちゃうっていうのと、どうにもこうにもローラーで1時間走をやるっていう気にならないんです。昔はあれでやっていたんですが、固定ローラーでやるっていうのがちょっと気が乗らなくて。3本ローラーだったらもしかしたらできるかもしれないですけど、アパートなので追い出されるなって。

編：環境ですね（笑）。

森本さん：環境はありますね。その中で自分がやれる選択肢の中から選んでやるしかないですね。トップの選手も本当に人それぞれですから。あまり練習方法で悩むというよりも好きな練習をするといった方がストレスはないです。ロングが好きならひたすらロングをやればいいと思いますし。同じ峠で時計を区切ってリピートするのが好きという方もいますよね。僕はどちらかというとロングでいろんな峠を走った方が好き。それだと自然にそういうトレーニングをしますし、モチベーションにもなるんじゃないかと思っています。人の情報も大事なんですけど、それはいったん置いておき、自分と向き合った方がいい結果が生み出せます。

編：今の話を聞いていると環境がすごく影響されているような気がしてて、加齢もそうですけれども、社会人として長く続けるための、森本さんがトップレベルのパフォーマンスをずっと維持していく上で考えていらっしゃると思うんですけど、長く続ける秘訣みたいなものを。

森本さん：秘訣ですか。これは難しいですね。1度その大会で勝ったら興味を失う選手と、1回勝ったから2回目3回目も譲らないぞって選手とわかれるんじゃないかなっていうのがあります。筧五郎さんや櫻井一輝さんもそうなんですけど1回優勝をした大会は興味がないっていうんですよね。高岡さんや僕は1回乗鞍勝っても、むしろずっと勝ちたいって思うような人間なんで、そういう意味では執着が強いというか。そういう気持ちが競技を続ける原動力になってるのかなとは思いますね。ただ五郎さんとか櫻井さんもずっと続けていますけどね。

編：やりすぎることはないんですか？

森本さん：本当に趣味でやってることだから、ストイックにやるのもそれが楽しいってことであればいいと思います。あと、この大会だけはがんばりたい、っていう大会を見つける。そういうものに出会えればいいですね。

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